中医学から見るキュウリ
ウリ科の代表キュウリは、インド北部が発祥とされ、日本には平安時代に伝わりました。
完熟した黄色くなったものを食用としていたため「黄瓜(きうり)」と呼ばれ、江戸時代後期から明治にかけて品種改良が進み、瓜特有の苦みが減少したことで広く普及しました。
キュウリは品種も豊富で、店頭でよく見かける緑色のものや、黒いぼが特徴のもの、中国で品種改良された四川キュウリ、皮が白っぽい淡い緑色の白キュウリなどがあります。
中医学で見るキュウリは、五性は「涼」。薬味は「甘」です。
五性の「涼」とは、熱を下げ、毒素を取り除く作用があります。薬味の「甘」には、補益作用により滋養強壮に寄与します。
キュウリは、『湿痰』という代謝が悪く、体内に水分が溜まりやすい体質におすすめです。
性味 | 涼、甘 |
帰経 | 胃、小腸 |
中医学的効能 | 解熱、解毒、消炎作用、水腫 |
水分が溜まりやすい『湿痰』体質とは
湿痰とは、津液 (しんえき) の代謝が悪く、体内に水分が溜まった状態です。
津液は、体内に存在する水分のことで血以外の体液の総称です。具体的には汗や尿、唾液などが該当します。
水分代謝は脾、肺、腎臓が関係しています。特に腎臓の働きが低下すると水分が溜まりやすく、肺・脾の働きが弱くなると、むくみや喘息などが生じやすくなります。
湿痰タイプ
□ にきび・吹き出物がある
□ 痰が出やすい
□ カラダが重く感じる
□ 体脂肪率が高い
□ むくみやすい
□ 肌が脂っぽい
□ 太っている
水分95%のキュウリがむくみに良い理由
キュウリに含まれるカリウムには利尿作用があり、体内の余分な水分を排出するチカラに長けています。
そんなに食べていないのになぜかいつも身体が重い、ボディラインがすっきりしない、という場合は体内に余分な水分が溜まってむくみが生じている、いわゆる”水太り”の状態かもしれません。
この場合は冷え性が伴っているケースが多く、カラダ全体の代謝が鈍くなっていることもあります。キュウリの水分排出の効果を活用しましょう。
ほとんどが水分で栄養が少ないと思われますが、ビタミンCやミネラルを含み、特にビタミンKが豊富です。ビタミンKは脂溶性ビタミンで骨のたんぱく質を活性化し、骨の形成を促す働きもあることから骨粗しょう症の対策にも優れた栄養素です。
また、銅も含まれていることから、貧血などの症状にお悩みの方にはおすすめです。
銅には赤血球中のヘモグロビンをつくるために鉄を運ぶ役割があります。鉄を十分に摂ったとしても、それを運ぶ銅が不足すると正常な赤血球を十分につくれません。
生食でのキュウリの身体を冷やす働きは、発熱時や熱中症などの体内に熱がこもっているときに効果的です。逆に身体を冷やしたくないときは、熱を加えると良いです。中華料理ではキュウリを炒めた一皿を見ることがありますね。
湿痰体質は、肉類・卵の黄身・魚卵・脂っぽいもの・甘いもの・味の濃いものは避け、炭酸飲料や冷たい飲みもの、酒類は控えめにしましょう。
体調に合わせて調理方法を選ぶ
前述しましたが、キュウリは生食の場合、身体を冷やす食材です。
盛夏には体内の熱やほてりを取り除く作用があり重宝しますが、冷房などで冷えを感じる方には一層冷えを進行させてしまいおすすめできません。
体調に合わせて調理方法を選ぶことをおすすめします。
●身体が冷えている場合
牛肉や鶏肉などと一緒に炒める熱を加える料理や、生姜や唐辛子などの温熱性食材と一緒に摂るようにしましょう。
●胃腸の負担を減らしたい場合
生食の場合は塩で揉んで食べるようにし、より負担を少なくする場合は加熱調理がおすすめです。
●胃腸が弱っている場合
皮を剥いて調理をするようにしましょう。
すっきりボディおうちで簡単薬膳レシピ
キュウリの旨辛漬け
生食でキュウリを食べたいときに、生姜と豆板醤を一緒に和えることで身体を冷やし過ぎないおすすめの一品です。
材料:2人分
キュウリ 2本
生姜 一片
★ポン酢 大さじ2
★すりおろしにんにく 1片分
★豆板醤 大さじ1
塩 適宜
作り方:
① キュウリは両端を切り落とし、縦1/4にカットし3cm幅に切る。
② 塩を適宜振り、①を揉みこみ、10分ほど置く。
③ ②の余分な水分を捨てたら★を混ぜ込む。
④ 全体に混ぜ合わせたら2時間ほど漬け込んでできあがり。
キュウリとチーズのマヨおかか和え
鉄分豊富なチーズと一緒に貧血予防におすすめの一品。ゆで卵の鮮やかな黄色が食卓を彩ります。
材料:2人分
きゅうり 1本
ゆで卵 1個
細切りチーズ 100g
★マヨネーズ 大さじ1
★酢 小さじ1
★こしょう 適宜
★かつおぶし 15g
塩 適宜
作り方:
① 卵を水から5分程度茹でて、ゆで卵をつくる。
② キュウリは縦1/4に切りサイコロ状にカットし、塩で軽く揉む。
③ 余分な水分を捨て、細切りチーズと★を加えざっくり混ぜる。
④ ①を箸で崩しながら全体をよく混ぜ合わせたらできあがり。
キュウリと鶏肉の旨塩炒め
胃腸が弱って食欲不振のときにもおすすめのさっぱり旨味のある塩味が後引く一品。加熱したキュウリは身体を冷やさず水分代謝を促します。
材料:2人分
キュウリ 1本
鶏モモ肉 1枚(250g程度)
ネギ 1/2本
★鶏ガラスープの素 小さじ1/2
★すりおろしにんにく 1片分
★酒 大さじ1
鷹の爪(輪切り) 少々
ごま油 適宜
作り方:
① キュウリの両端を切り落とし、縦半分に切り、斜め5mm幅にカットする。
② 鶏モモ肉を削ぐように一口大程度に切る。ネギは斜め薄切りにする。
③ フライパンにごま油を加え、点火前に②と★を和えるように混ぜ合わせる。
④ 鷹の爪を加え、中火で炒めていき鶏肉に火が通ったら①を加える。
⑤ 全体をサッと混ぜ合わせるように炒めたらできあがり。